海外現地採用のここがブラックだった! ~中国大連でコールセンター業務をやっていて思ったこと

2020年10月~2022年4月まで、中国大連にて現地採用職員として働いていた僕。

ここまで職場の雰囲気だったり業務内容だったり現地での生活ぶりだったり、色々紹介してきたかと思います。

概ね楽しくやってたわけなんですが、働くうえでの不満なんかは無かったのか?

と言われると…

 

ぶっちゃけ不満だらけでした(笑

 

今だから打ち明けられますが、もう少し職場に満足してたら1年半では帰国しなかったかもしれません…

(もともとmaxで2年間を考えていましたが、それより半年短い期間で帰国したわけですね)

 

というわけで、今回は僕が現地採用として働いていた際に感じた不満、もっと突っ込んで言うと

「ブラックだなあ」

「環境が劣悪だなあ」

と感じたエピソードを紹介します!

ほんの1年半程度の経験でおこがましい!と言われるのは承知で、海外で現地採用として就業することを考えている読者様向けにちょっとしたアドバイスも添えたいと思います。

ぜひ最後までご覧ください!

 

あれ?人事からの説明と違うぞ…?

僕が働いていた会社から内定をもらったのは2020年4月上旬のこと。

内定通知とともに今後のステップ(就労ビザ取得だったり、渡航時の隔離のことだったり)について色んな話をうかがいました。

当然その説明をふまえ、おおよその青写真を描いて入社したわけなんですが…

入社後に僕を待っていたのは想像の斜め上を行く未来でした。

ハッキリ言って聞いてた話と違いすぎるw そんなことの連続でした。

 

休憩時間が短い

まず昼の休憩時間については1時間とうかがっていましたが、実際は50分休憩でした。

そればかりか、問い合わせがが多い日(主に休み明け)に関してはまさかの40分休憩です。

その埋め合わせとして3週間に1週間は1時間早上がりができるという制度が設けられていましたが、これについても問い合わせが多かったり人員が不足している場合は履行されませんでした。

そんな不確実なんだったらバッチリ60分休ませてくれたほうがええわ…と思わずにはいられませんでした。

(ちなみに休憩時間をほんの数分オーバーしただけで指摘が入ることもありました)

 

残業代が支払われない

残業が発生した場合は残業代が支払われること、そしてご丁寧にその計算式までうかがいましたが、我がプロジェクトには残業代という概念が存在しませんでした。

18時で問い合わせ受付終了という性質から、もともと残業はほとんど発生しないものの

勤務終了の直前に来た問い合わせに対応した場合、数分~数十分の残業が発生するケースは時たまありました。

1か月だとほんの数時間ではあるんですが、この分に対して残業代ではなく、これまた3週間に1回の早上がりで帳尻合わせしているとの回答でした…

 

休日が少ない

業務は日本からの問い合わせ対応だったため、休日は日本のカレンダーに準じるという形でした。

しかし蓋を開けてみてビックリ。

年末年始の休みはまさかの元旦のみでした。

大晦日も1/2~3も土日と被らなければ出勤です。

日本のカレンダーに準じていない…だと?

ちなみにお盆は悪い意味で準じているので、まとまったお盆休みもありません。

お盆近辺の休みは山の日だけです。

大連には対日業務のプロジェクトが多いという話はこちらの記事でもお話ししたと思うんですが

ほとんどのプロジェクトはお客様の休みに合わせてお休みでした。

なので年末年始は1週間前後休むのは当たり前、お盆にお客様側で全社的な休みがある場合はお盆もがっつりお休み。

それに対してウチは先述の通りです。

ガッカリだよっ!!!!(桜塚やっくん)

 

食堂メニューのレパートリーが思ったより少ない

事前に聞いていた話によると、食堂のメニューは充実していて世界各国の料理が食べられる、とのことで心底ワクワクしていました。

贅沢したい日はイタ飯でも食べて、サクッと済ませたい時はハンバーガーでも…

妄想は膨らむばかりでした。

しかし、実際に食べられたのは中国料理と日本料理(もどき)と韓国料理(もどき)でした。

【参考】↑日本食もどきの店で提供されていたゴワゴワでペラペラのチャーシューと謎のチンゲン菜が入った、くりぃみぃスープの豚骨ラーメソ

 

元弊社にとって世界各国というのは東アジアの三か国らしいです。

なんてグローバルなんだろう?w

 

自動昇給しない

さらに月給に関しては毎年のベースアップが皆無でした。

日本の企業であれば年功序列の一環というか、少なくとも毎年数千円は月給が自動的にアップするケースが多いと思うんですが、弊社ではそれがありませんでした。

ただ、これに関してはどうやら中国企業だと変でもないというか、月給を上げるには昇進なり交渉なりで勝ち取るか、数年でよそに転職してセルフ昇給させるのが一般的なようです。

入社して間もなくこの事実を知ったとはいえ、2年目の給与明細を見て1元たりともベースアップしてなかった時はやはり寂しいものがありました。

ちなみに僕の月給だったり毎月のやりくりに関して詳しくはこちらの記事をご覧ください!

 

とにかく環境やら設備が…

これは色々あるんですが、とにかく職場の環境が劣悪でした。

代表的な事例をいくつか挙げたいと思います。

 

トイレ事情

まずは誰もが必ずお世話になるトイレです。

※食事中の方や「汚い話はちょっと…」という方はこのセクションはスキップしてください

結論から言うと、汚くて臭いがハンパなかったです。

僕が勤務していたフロアは男子トイレに大便器が3つあったんですが、そのうち2つはしゃがむタイプです。

そして座るタイプの便座は若干壊れていて、グラグラします。

しゃがむタイプはよく落とし物(何のことか分かりますよね?笑)がそのままだったり、立ちションする輩が後を絶たず地面がビショビショだったりとにかく不潔で足を踏み入れることさえ躊躇うレベルでした。

床も基本的に尿なのか、手を洗ったときの水なのかよくわからないもので濡れていて、これでも大企業かい…と絶望したものです。

しかし中国ではそもそも「トイレは汚くて当たり前」という認識が一般的らしく、あの程度は至って普通なのでしょう。

したがって、これもまたジャパニーズマインド全開の僕が心の準備不足ゆえに食らったボディーブローの一つ。

ありていに言えばカルチャーショックというやつなのかもしれません。

 

カスタマーサポートを提供するのに肝心の…

僕はカスタマーサービスの良し悪しは主に以下の三点で決まると思っています。

 

①応対・案内が的確であること

②ネット回線が安定していること(=応対に必要な各種情報・ツール等のアクセスが担保されていること)

③音声通話の品質が高いこと

 

①は置いといて(良いわけはないんだけど、一旦…笑)、弊社は②と③がとにかく絶望的でした。

まずネットは重いうえにたびたび断線し、サポート時に必須のツールが使用不可になることは日常茶飯事です。

さらにこちらが発する音声もお客様が発する音声も互いの耳に届くまで時差があり、たびたび会話が衝突して被せる格好になります。

ヘッドセットに関しても、最初に渡されたものは耳当ての部分が黄色く変色していることに加えて音がよく聞こえませんでした。

マイクの方も僕の声をあまり拾ってくれないのかお客様からは「電話が遠い」とのご意見をいただいてばかりでした。

結局タオバオで40元ほど自腹を切って新しいのを買う始末でした…(幸い買い換えたらお客様の声もよく聞こえて僕の声もしっかり通るようになりました)

それにしてもなんでこんなに当たり前の設備が整ってないんだろう…?

しかもサービスの質とは直接的には関係はないんですが、布張りの椅子もシミだらけで床のカーペットもあちこち原因不明の汚れが目立ちます。

流石にこれはは中国の文化云々というよりも会社の、もっというと部署の怠慢じゃなかろうか…?

とっくのとうに愛想が尽きた中国の名誉のためにも

少しだけ、少しだけ、そう思わせて(あいみょん)

 

ぶっちゃけ負荷に見合わない待遇

ここまでの件でもかなり不満なんだから、ベース11000元という月給では到底割に合いませんでした。

残念な話はまだ続きます。

 

単純にキツい

コールセンターはとにかく息をつく暇が極端に短い仕事です。

途中の休憩時間以外はずっとモニターに向かっての通話か対応録の記載に追われ、対応が一通り片付いたら片っ端から次の電話を取ります。

ほとんどは定型文を繰り返してものの10分もかからないような簡単な問い合わせですが、全国津々浦々の八百万(やおよろず)の人々から様々な電話が来ることを忘れてはいけません。

訛り全開で聴き取りにくいなんて可愛いもんで、

理不尽なクレームに小一時間心をえぐられたり、認知症一歩手前のご老人とエンドレスで会話のドッヂボールをしたり、情緒不安定な方にカウンセリングまがいのことをしたり

おおよそ1~2割前後の確率で苦慮を伴う対応を強いられます。

1日に20~30件の問い合わせを処理して帰宅する頃には身体中が重く、まるでこなき爺にのしかかられてるような、と言うと大げさですが疲労がハンパじゃありません。

基本的に年中忙しいだめ、ごくまれに訪れる閑散期(1年のうちわずか数日)は砂漠のオアシスに近いものがあります。

 

ボーナスがショボぼい

ぶっちゃけ毎月の給与は負荷に比べて少ないと言わざるを得ませんが、それでもボーナスがマシならまだモチベーションは高まるかもしれません。

ところがどっこい、ボーナスは春節付近で貰える年1回のみで、額はなんと10000元です。

なんと月収を割っています…

日本ではこういうのを寸志って言うんですよね…?

 

福利厚生がショボい

そして諸手当も雀の涙。

交通費が毎月200元、暖房手当なるものが同100元です。

暖房費は大家負担なので、ぶっちゃけ名ばかりです(笑

中国では交通費という概念が無く給料に含まれているパターンが多いとのことで、わずかながらも交通費がもらえるのは良いのかもしれません。

あと医療保険的なものに加入しているらしいのですが、入社時はろくに説明がありませんでした。

幸い在職中に利用することもありませんでした。

家賃手当?あるわけないじゃんwww

 

逆に「ここがよかった!」という点は?

ここまで様々な例を紹介させていただきましたが、実はこれ以外にも挙げればキリが無いほどの不満がありました。

これ以上話すと流石に特定されそうなのと、何より書いていてツラくなるので止めにしますw

ぶっちゃけブラ●クなのになんで1年半も働いたの?

途中で辞めるか転職すればよかったじゃんw

と思うかもしれませんが、まあ色々と事情もありましたし、良いところもわずかながらあったんですよね。

最後はちょっとは晴れやかな気持ちで〆めたいので、良かった点も紹介します!

(思い出すのに本当に苦労しましたw)

 

祝日の勤務で3倍増し

中国の法定休日に出勤した場合、その日に限って給料が三倍増しになります。つまり4倍です。

…しかしこれは中国の法律で決まってて、うちだけじゃありません。単に法律守っているだけです。

(ちなみに祝日全部が三倍増しじゃなくて、カレンダーの並びによっては貰えない日もあります…)

 

雑多で面倒な社内業務が無いので本業に集中しやすい

日本企業に勤めたことがある人なら分かりみが深いかもしれませんが

うざい社内活動とか形式だけの目標面談に無駄な間接工数を割いて本業を圧迫したという経験はありませんか?

あと自腹切って行かされるだるい飲み会とか。

僕のプロジェクトではこれらがありませんでした。

飲み会はチームの経費で落とすため、個人の懐からは手出しがありません。

そして、よく分からん社内活動や目標面談のような形骸化したプロセスは皆無。

本業にばっちり集中できる環境が整っていました。

(というか、忙しすぎて集中せざるを得ないw)

 

一定数以上の受電でインセンティブ

実を言うと僕がこのプロジェクトに加入してから1年が経つ頃には、あまりの辛さに退職者が続出していました。

それを繋ぎとめるため?かは分かりませんが、一日に一定回数以上受電した場合、1件につき10元のボーナスが支給されました。

これのお陰で僕は少ない時で月500元、多い月だと1000元程度稼ぐことが出来ました。

僕みたいに対応件数を稼いでいる人にとっては実質的な給与アップだったと言えます。

 

人間関係が良かった(これはマジ)

そして僕がまがりなりにも1年半程度続けられた最大の理由は

人間関係の良さ

これにつきます。

詳しくはこちらの記事でお話ししてますが、簡単に言うと

同僚間でギスギスした感じは全くなく、本当に気軽に話せる人ばかりだったんです。

女性が大部分を占める職場でしたが、そういった職場に時たま見られるような、妬み嫉みの類やらドロドロした話はほとんどありませんでした。

それどころか互いのこと、もっと言うと多様性を尊重するような雰囲気がそこにはありました。

また、僕のことをよくサポートしてくれるチームリーダーにも恵まれました。

ここでの人間関係は大連を離れて2年半以上経った今でも続いています。

(もちろん個人的に嫌だなと思った人も中にはいましたけど、直接的な関わりが薄い人たちでした)

 

現地採用は何なら全てが運ゲーとも言えるレベルで不確定要素の塊です。

特に人に恵まれなかった場合、最悪の場合「独り」になってしまいます。

現地採用のポジションを掴みに行く時点で「一人」には抵抗が無いか好きな人がほとんどだと思います。

でも、「独り」を好きという人はあまりいないのではないでしょうか。

特に異国の地で「独り」、すなわち孤独になった場合、拠り所が全くない状態になります。

人間関係に恵まれるというのは、とりもなおさず「独り」にならないことなのです。

僕の職場は何かと劣悪な条件が揃っていましたが、それでも1年半近く仕事を続けることができました。

それは人間関係に恵まれれたからに他なりません。

 

僕の職場のある先輩(日本人)は大連で数社を渡り歩いた結果

今のプロジェクトが総合的に一番良い

と言っていました。

僕がこれまでさんざんクソみそに言ってきたくらい環境やら待遇が劣悪にもかかわらず、です。

それはなぜかというと、人間関係が一番良いからだそうです。

 

まとめ ~現地採用を目指す読者様に向けて

海外での現地採用ライフに憧れを抱いている方は多いかと思います(実際僕もそうでした)が、現実は良くも悪くも想像の斜め上を行きます。

海外で現地採用として働く場合、特に日本で内定を得てから現地に渡航するケースにおいては

現場がブラックかどうかを前もって判断することはなかなか難しいと思います。

正直言って運要素が非常に強いということを認識しなければなりません。

 

また、現地での日常生活が合うか合わないかも本当に重要です。

僕の場合事前に留学で大連という街を知っていたこともあり、この点においてはストレスはほとんどありませんでした。

行きつけの店やお気に入りの散歩コースも留学時代に確立していたこともあり、プライベートに関して心配事はほぼ無かったと言えます。

さらに僕の生命線とも言えるサントリー烏龍茶があちこちで手に入るということも知っていました。

 

ストレスというのは本当に複合的な要素が絡み合もので、単体では対処可能でも複数の要因が同時に降りかかると根元からポッキリ折れてしまうこともあるから恐ろしいんですね。

なので、もし可能であれば事前に

不確定要素をできるだけ確定させること

をオススメします。

具体的には現地採用として生活してみたいと思っている土地に旅行なり留学なりで一定期間過ごしてみることです。

そこでその街が好きになれば、初めてそこで就職することを考えてみるといいと思います。

 

人間関係に関しても、絶対に地雷を踏みたくないと思うのであれば、現地に住む知人の紹介を経て就職するのが比較的安全かと思います。

現代はSNSやら各種コミュニティサイトが用意されているので、思ったより容易に現地人ないし在留邦人と知り合うことができるでしょう。

先述したように旅行やら留学で現地に行くとより簡単に知り合えます。

 

人間というのは多面的な生き物なので、付き合いが長くなれば今まで見えていなかった一面が見えてくるものです。

第一印象は最悪だったけど、思ったより良い人かもしれないと思える(逆もしかり)こともあるでしょうから、地雷を踏んだ気がしてもしばらくは続けてみましょう。

待遇やら環境やらも慣れである程度なんとかなる部分とどうしても無理な部分が次第に分かってきます。

適度な落としどころを探るのと並行して、社外での人脈形成やら求人情報リサーチやらをこまめに行うことでリスクヘッジするのも大事です。

 

現地採用は駐在員と違って好きなタイミングで渡航して好きなタイミングで帰国することができる一方、後ろ盾は全くありません。

こんなはずじゃなかった!

を減らす工夫&出くわしても対処するための妥協と代替案

これらの備えが何よりも大事になります。

 

読者様の海外生活が少しでも実り多いものになりますように。

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