海の向こう、大連のコールセンターはこんな感じだった ~職場の雰囲気とメンバー

2023-09-16

初めての海外就職、初めてのカスタマーサポート。

職場にはどんな人がいて、どんな雰囲気なんだろう?

日本語業務とはいえ、そもそも電話応対なんてまともにしたことない僕に果たして務まるのかな?

期待と不安が入り混じる2020年11月1日、ついに現地採用ライフがスタートしました。

日本でビザの手続きをしていた頃は、何なら隔離ホテルから夕陽を見ていた頃だってまだまだ先のことだと思っていたのに意外とあっという間にこの日が来てしまった…

大連に戻ってきて新しい仕事ができることの感慨深さと束の間のニートライフに別れを告げることへの寂しさが入り混じる、なんとも形容しがたい心境でした。

そんな感じで始まる僕の現採ライフですが

 

海外で現地採用ってどんな感じか気になる!

それもコールセンター業務に興味がある!

 

なんていう奇特な読者様もいらっしゃることでしょう。

今回はそんなあなたのご要望(?)にお応えすべく、僕が働いていた職場の環境や業務について紹介します。

退職した今でも守秘義務があるので個人情報はもちろん、具体的なプロダクト名や細かい内部事情をお話しすることはできませんが、コンプラの範囲内で僕の体験談をあらん限りお伝えしたい所存です。

初回である今回は現場の雰囲気やメンバーについてお話しします。

 

日本語のカスタマーサービスなのになんで海外、それも中国の大連で行われるのか?

なんていう疑問にはこちらの記事(以下、「前回の記事」と記載)で説明してますので、よかったら併せてご覧ください。

あなたのお問合せ、海の向こうにつながってるかも? ~大連に見るグローバリズム

 

新人研修(トレーニング)とそのトレーナー

前回の記事でもお伝えした通り、今回僕が担当することになった業務は某ソフトウェアのサポート業務です。

サポート提供相手は日本国内の一般ユーザー。要するにほぼ全員が日本語話者です。

したがって、対ユーザーで中国語を使う必要はありません。

入社後の新人研修で僕が研修時に学ぶ必要があるのは主に以下3点です。

 

①プロダクト(製品)全般に関する知識

②各種ツール(対応時に参照するシステム)の使い方

③各種決まり事(対応時のルール)

 

これらを入社したその日からだいたい3週間ほどで詰め込んで、OJT等を通して定着を図って行く。

そんなプロセスになっています。

どこのコールセンターもだいたいこの3点セットはマストですよね。

ぶっちゃけ覚えが悪い僕からすると途方もない情報量で、研修期間はプレッシャーから頭もお腹も消化不良を起こす毎日でした。

幸いIT企業での就業経験があったため、IT用語や技術的な概念と関連がある部分については難なく吸収できました。

IT未経験かつ中国語ネイティブの場合は上記①~③に加えて日本語の言い回しやIT用語についても新しく学ぶ必要があるので、その困難たるや想像に難くありません。

 

前置きが長くなりました。

ここまで説明させていただいた業務を指導してくれるトレーナーがいるんですが、僕が入社した当時だと2人いました。

(噂によると今はもう1人増えたとか増えてないとか)

いずれも30代(当時)の女性で、一方が漢族のSさん、もう一方が朝鮮族のYさんです。

両名ともトレーナーになる前は長年オペレーターやチームリーダーを経験していて知識・経験ともにバッチリなのはもちろん、驚くべきはその日本語力です。

日本語をガッツリ専攻(あるいは日本に長期滞在)していたことに加えて、日本全国から寄せられる訛り全開の問い合わせを無数に捌いてきた経験がこれに拍車をかけています。

「てにをは」も敬語もほぼ完ぺき。

特にYさんの場合は、日本語と文法が近い朝鮮語話者という日本語学習上のアドバンテージもあります。

なのにトレーニング開始時の一言で「さて、始まりましょうか」と、可愛い言い間違いをする様子にはクスっとしてしまいました。

性格はかなり対照的で、Sさんはビジネスライクだけど優しい、Yさんは厳しいけどフレンドリー、そんな感じでした。

また両名ともお子さんが1人ずついて、わんぱく盛りな様子。

子供の教育にはしこたまお金がかかっているせいか2人目が欲しいという発想は無いらしく、いかにも中国の親っぽいなと思いました。

 

現場OJTと職場の雰囲気

新人研修の座学も中盤に差し掛かったタイミングになると、今度は現場のオペレーターの対応を横で聴かせてもらう時間が設けられるようになります。

このことを「モニタリング」と呼んでいました。

というわけで、早速皆がサポート業務をしているエリアに入ります。

職場全体を見渡した感じ皆服装も髪型も自由で、LGBTのメンバーがそれをオープンにできていたり、割合開放的な雰囲気がありました。

ちなみに同プロジェクトの電話サポート(他にチャットサポートもあり)は全部で3チームに分かれており、僕はチーム1に所属することになりました。

チームリーダーは40代のJさん(漢族女性)で、見た目は木村佳乃さんに少し似ています。

穏やかな性格で話もよく聞いてくれる方なので、僕自身心から敬愛していました。

在職中は本当に何度もお世話になりました。おそらく見ていらっしゃらないかとは思いますが、この場を借りて改めてお礼申し上げたいくらいです。

そんなチームリーダーから早速モニタリングを案内してもらいます。

初めて僕がモニタリングさせてもらったのは30代のBさん(漢族女性)でした。

高校卒業後に留学のため日本へ行き、大学を卒業してからは日本のローカル企業にも勤めていたそうです。

日本での在住経験がトータルで10年を超える彼女の日本語力は下手をすると先述のトレーナー2人以上に高く、特に発音に関してはノンネイティブなのが信じられないレベルで癖がありません。

成績は電話サポートのメンバーの中でも抜群に良く、ランキング1位の常連であり、陰では「女王」なんて呼ばれたりもしていました。

PCの操作だったり対応のリズム感だったり、センスを感じずにはいられないというか、不器用な僕に真似できる類のものではありませんでした。

要するに、凄すぎて逆に参考にならないレベルでした。

このようなモニタリング研修が座学と併せて毎日1時間程度設けられており、Bさん以外には20代のZさん(漢族男性)の対応も聴かせてもらいました。

彼の対応は物腰柔らかかつ案内も的確で、Bさん同様に上位ランカーです。

そうは言ってもBさんのような天性の器用さやテンポがあるタイプでは無いので、盗めそうなポイントもちらほら。そんなわけで

この人こそ僕が目指すべき姿だ!…と思った記憶があります。

日本語力についてはBさん並みに発音にほとんど癖が無く、語彙もスラングをはじめ守備範囲が広く、やはり日本語ネイティブに近い自然な日本語を話します。

パッと見少し日本のオタクっぽい感じがする彼もまた日本に留学した経験があり、留学先の大学は僕の以前の勤務地からほど近い場所にありました。

そのうえ住んでいたのも同じ川崎市で、共通の話題にも事欠かないという奇遇っぷりです。

極めつけに、どういうわけか同郷の友達にどことなく雰囲気と声が似ており、勝手に親近感を覚えていました。

(そのシンパシーを感じ取ってくれたからかどうかは定かではないんですが、Zさんは僕の在職中にとても仲良くしてくれました)

 

そんな感じで座学と実力者2人のモニタリングがセットになった新人研修が終わって入社から3週間強が経過した頃、ついにチームに合流して電話に出始めました。

しばらくはOJT期間として、先輩(実力者Bさん、ZさんやチームリーダーJさん)がつきっきりで一緒に対応してくれました。

お客様の問いに対し、僕の横に座っている先輩が小声で模範解答を囁いて、それを僕がそのま真似て答える。

なんていう、船場吉兆の謝罪会見かと言わんばかりの、それはもうぎこちない対応でした。

(ささやき女将みたいに僕のマイクに模範解答の声を拾われてたらきまり悪いな~とか思ったりして、ぶっちゃけ気が気じゃなかったです)

それでも僕ができるようになるまで辛抱強く教え導いてくれたお三方には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

同じチームのメンバーたち

僕が加入した時点でのチーム内のメンバー数は全部で13人(チームリーダー含む)でした。

雰囲気は和気あいあいとしていて、チームリーダーも優しいので比較的自由にやらせてくれます。

全体的に年齢は若めで、アラサーの僕が平均か若干上くらいです。

最年少は先述のZさんの25歳(当時)、最年長はチームリーダーの41歳(同)です。

男女比に関して言うと、男性は僕とZさんのみで他は全員が女性という、男女共学になって2年目くらいの元女子高レベルの比率です。

詳しくは後述しますが他チームはもう少し男性比率が高いです。

またこれは余談ですが、どうやら僕のチームは美女揃いのチームだとも言われているようでした。

配属当初は気が付かなかったのですが、なるほど、薄めの顔も濃い目の顔も、小柄も大柄も一通りいて誰でも一人くらいタイプの人が見つかりそうな感じです。

(残念ながら僕のどストライクはこのチームじゃなくて他チームにいたのは秘密です)

僕は隅っこの方の席だったんで、配置によってはハーレムみたいになるんじゃないの?

なんてて思ったりもしたものです。

なんか男子高卒の人が聞いたら助走付けてグーで殴ってきそうなので男女比の話はこの辺にしときます。

 

次に国籍とか日本語力について。

日本国籍は自分を含めて3人で、あとは全員中国籍です。

中国籍の皆さんの出身地はバラバラで、大連をはじめとした遼寧省が多数派で、隣接する吉林省や河北省出身の人もちらほら、みたいな感じでした。

基本的に留学やら就業やらで複数年日本に滞在経験のある人が多数派ですが、中には渡航経験すらないのに日本語力お化けの強者もちらほら。

日本の津々浦々から色んな訛りと方言でジャブを繰り出してくるお客様相手に臆することなく応戦できる実力と度胸には舌を巻くばかりです。

ぶっちゃけ大連の日本語業務従事者の中でも日本語力上位10%の日本語ガチ勢が集うプロジェクトだったのかな?と、退職した今になって思います。

 

前の記事で大連は日本語業務のメッカ的なことを書いたと思うんですが、ぶっちゃけ日本語業務に従事している人の日本語力はピンからキリまで様々です。

最低レベルは簡単な挨拶とひらがなカタカナがわかる程度(漢字力は標準装備)で、僕の体感だとボリュームゾーンはJLPTのN3~N2レベル近辺です。

要するにN1レベルの人は思ったより少なくて、日常会話レベルかそれ以下のレベルでできちゃう業務が案外多いんです。

データ入力とか会報誌の作成補助みたいな、ユーザーと話さなくてもいいような比較的単純な業務なんかはまさに得意分野と言っていいかもしれません。

なお、高い日本語力が求められる職場では原則的にいつでも日本語ネイティブを歓迎しているみたいです。

 

話がやや逸れましたが、僕は日本語力が高い皆さんに囲まれていた関係で、中国語を積極的に使うモチベーションは跡形もなく消え去りました。

日本語力が一番低い人でも僕の中国語力とトントンくらいなので、仕事の話するんなら日本語でいいよね、となってしまうのも無理からぬ話かもしれません。

何なら日本語モードの頭で中国語を話すと迷惑かけてしまうくらいかと思われ、僕の方から中国語で話すことはほとんどありませんでした。

要するに何が言いたいかというと、僕が中国語を全然話さない言い訳には事欠かないレベルでチームメンバーの日本語力は高かったということです。

 

他チームのメンバーたち

他のチームはどんな感じでしょうか。

簡単に言うと、僕のチームとはかなり毛色が異なります。

一方のチームは社歴10年以上のベテランが多いチームで、アラフォーの女性陣がコアメンバーです。

チームリーダーは40代のGさん(漢族男性)で、実家はお金持ちらしいです。

チームの雰囲気はやや落ち着いていて、チームリーダーも怖そうに見えて実は優しいみたいです。

男女比については僕のチームより男性が1人多く女性が1人少なくて、日本人は男性2人と女性2人の合計4人です。

もう一方のチームは少数民族と40代以上の日本人男性が多めのチームで、チームリーダーは40代のLさん(朝鮮族男性)です。

リーダーがかなり体育会系で、ぶっちゃけこのチームの雰囲気は僕には無理だなと思いました(笑

ちなみに僕が仲良かったメンバーやどストライクな人もこのチームにいました(小声)

 

以上、ここまでが電話サポートのメンバーで、他にもチャットサポートや技術要員のチームもありました。

チャットサポートのメンバーとはほぼ交流がありませんでしたが、技術要員の方とはほぼ毎日コミュニケーションを取ります。

一癖も二癖もある方々でしたが、いろんな場面で助けてもらいました。

 

まとめ

以上、職場のメンバーと雰囲気についてお話しさせていただきました!

全体的にメンバーや雰囲気は良く、退職までに人間関係に悩まされることは一度もありませんでした。

仕事自体はぶっちゃけかなりきついことも多かったんですが、なんだかんだ1年半くらいやれてたのもこのためなのかなと思います。

ちなみに僕の職場はあくまでも海外現地採用の一例に過ぎません。

中国の、それも大連の話なので、他の国の他の都市に行けばメンバー構成やローカルスタッフの日本語力はガラッと変わるでしょうし、何なら同じ都市でも会社が違うだけで雰囲気が一変することもあるでしょう。

今回の記事を読んで

 

なるほど、こんな職場もあるんだな!

なんか現地採用って面白そう!

 

って思っていただけたり、大連に興味をもっていただけたりしたら幸いです。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

(もし現地採用ライフについて「こんなテーマ・切り口で書いてほしい」みたいなのがありましたらコメントお待ちしております!)

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