留学や赴任で海外に長期滞在、処方薬はどうする?~中国渡航にあたって僕はこう対応しました

2022-06-19

你好!

大連に来てから1週間経ったあたりから、メチャクチャくしゃみや鼻水が出て、そして目がかゆくなっちゃいました。

PM2.5のせいか何かの花粉アレルギーのせいかは分かりませんが、とにかく大変でした。

で、粘膜が荒れたせいか風邪まで引いてしまったという…やはり急激に環境が変化したことが想像以上に負担となっていたようです。

そうでなくても僕はもともと身体が強い方ではないので、普段より一層病気には気を付けないといけません。

 

ところで病気と言えば、留学とか赴任で長期間海外に行く際に薬をどうするかについて疑問を持ったことはありませんか。

 

え?留学とか海外赴任なんて健康な人しか行かない(行けない)んじゃないの?

 

いえいえ、そんなことはありません。

現に持病を抱えながらも海外留学した人がここにいます。

仮に渡航前は健康でも、環境の変化等で体調を崩すこともありますから、常備薬はどうしても必要になります。

ちなみに僕は中国留学に市販の常備薬に加えて処方薬も1年分持ってきました!

 

は?そんなに持ち込んだら税関で没収されるんじゃないの?

何か対策とか必要なんじゃない?

 

こういった疑問にお答えすべく、今日は薬の海外への持ち込みについて僕の体験談を交えてお話したいと思います。



 

1.まずは渡航前に必要な薬を必要な分だけ用意(ストック)する

海外に渡航することが決まったら、まずはそれに向けて薬を調達します。

市販薬なんかは薬局で大方手に入ると思います。

普段から処方薬を飲んでいる人は、病院の先生に事情を話して通院時に少し多めに処方してもらうようにしましょう。

ただし病状がある程度安定していることが前提になるので、病状があまり思わしくない場合は渡航時期の延期する等して、さしあたり回復に努めましょう。

(そもそも先生が納得しないと多めに処方してくれる可能性は低いので…)

ちなみに僕の場合、先生に根回しし始めたのは留学の1年前くらいからです。

本当はそのもう少し前に留学に行くことは決まってたんですが、薬を減らしている最中だったり、時々体調を崩すこともあったりでまだ様子見が必要だったんですね…。

ただ、最終的には1年間の留学期間をまかなえる分くらいは確保できました。

僕は個人での留学というケースですが、会社の都合で急に赴任の要請があった!なんていう方もいると思うんですよね。

そうなってくると前もって十分な量の処方薬を調達するのは難しいかな、と思います。

そういう場合は一旦人事ほか会社の担当者に相談することになると思います。

赴任先の病院で処方してもらう、定期的に一時帰国して加療、そもそも赴任を見送る等、考え得る範囲でベストな決断をしましょう。

仮に長期で海外に行く予定が無い場合であっても、何かあった時に慌てないために薬は日頃から若干ストックしておくのが良いと思います。

なお頭痛薬や風邪薬等の常備薬は加療中の病気の治療薬と一緒に処方してもらうと、薬局で買うより安上がるのでオススメです。

 

2.かかりつけの病院で医療証明書を書いてもらう

これがこの記事の肝とでも言いましょうか、薬を用意できたら、念のため英語版の医療証明書を用意しましょう。

なぜなら入国審査の際に万一税関等で呼び止められ、薬について説明を求められた場合に客観的な説得材料になるからです。

記載の言語は入国先の公用語がベストですが、英語以外の言葉に堪能な日本人医師はなかなかいませんし、現地税関の方は誰かしら英語ができるはずなので英語で問題ありません。とはいえ

そんなのどこで用意するの?

って話ですが、ぶっちゃけどうにかなります。

僕の場合は都会の総合病院ではなく富山の町医者だったんですが、問題なく対応していただけました。

もしかかりつけの病院の先生が対応できなさそうな場合は、知り合いの先生をあたってもらえば誰かしら対応してくれるはずです。

で、僕がもらった医療証明書には”Medical Certificate”というタイトルのもと、以下の内容が記載してありました。

※ 表の下にある実際の書面と併せてご参照ください。

① 病院名 医療証明書を発行してくれた病院の名前です。
② 病院の住所 医療証明書を発行してくれた病院の住所です。
③ 病院の電話番号 医療証明書を発行してくれた病院の電話番号です。
④ 病院のFAX番号 医療証明書を発行してくれた病院のFAX番号です。
⑤ 患者の名前 当人(=処方薬を飲む人)の名前です。
⑥ 患者の性別 当人の性別です。
⑦ 患者の生年月日 当人の生年月日です。
⑧ 患者の国籍 当人の国籍です。
⑨ 処方薬全般に関するコメント 処方薬の用途や、含まれる成分に関するコメントです。
⑩ 既往症 薬を処方する原因となった病名が主に記載されます。
⑪ 薬一覧 薬(=今回持ち込むやつ)の名前一覧および用法容量です。
⑫ 発行日 医療証明書を発行した年月日(西暦)です。
⑬ 医者の名前 医療証明書を発行してくれた先生の名前です。
⑭ 医者の署名 医療証明書を発行してくれた先生の自筆署名です。
⑮ 印鑑 医療証明書を発行してくれた病院の印です。

これと併せて、薬の写真もセットで用意してあると尚良いと思います。

証明書に記載されている薬と実際に持ち込む薬が同一であることをビジュアルで示すことができるからです。

ちなみに診断書という扱いだったので、保険は適用外で2000円で作成してもらいました。

 

また、これらによって強調できるのは

あくまでも私個人が使う分であって、輸入転売用に不当に持ち込んだものじゃないよ!

という点です。

国にもよるかと思いますが、そもそも税関では適当(と思われるよう)な分量を超えての持ち込みについて、密輸ではないかと疑いをもたれるリスクがあります。

そしてこういった事情から持ち込みが制限されたり許可されても税金が課される、なんて結果になるケースもあるとのことです。

 

結果からを言うと、今回留学にあたって中国への入国時に現地の税関で大量の薬について説明を求められることは無く、難無く持ち込むことができました。

そうは言っても予期せぬ出来ことが起こるのが海外の怖いところです。

「転ばぬ先の杖」ないし「転んだ時の備え」としてくれぐれも用意しておくことをオススメしますし、実際にこれがあることでかなり安心できました。

 

3.薬を入れたケースに医療証明書の原本を入れておく

ただ、医療証明書を用意したからといって安心というわけではありません。

何かあった時にすぐ見せることができなければ証明の余地を与えてもらえない可能性がありますし、そうなってしまっては意味が無いからです。

(ドラクエで言う、「道具は装備しないと意味が無い」と同じ理論です!笑)

なので医療証明書は、薬を入れたケースの分かりやすいところに入れておきましょう。

僕はこんな感じで、中が見えるケースの一番上に入れました。

念のため入れる前にコピーを取っておき、ここにはコピーではなく原本を入れると良いと思います。




 

4.薬は機内に持ち込まずに、預け手荷物(受託手荷物)の中に入れる

で、ここで注意ですが、薬とその証明書を詰め込んだケースは機内持ち込みではなく、預け手荷物の中に入れましょう

なぜなら、機内に持ち込む物はあくまでも機内もしくは移動中に使用する分なので、長期滞在時に飲む膨大な量は不要だからです。

いかに安全であっても保安検査所の荷物検査の段階で引っかる可能性があり、不自然だと判断されてしまうと最悪の場合没収や任意廃棄となるケースもあります。

したがって持ち込み手荷物の中には、移動中に飲む分(+α)だけを入れ、それ以外は全て預け手荷物に入れましょう。

 

5.医療証明書のコピーは機内に持ち込む

医療証明書念のためコピーを取っておき、こちらは機内に持ち込みましょう。

手違いで預け手荷物の中に入れ忘れた場合や紛失に備えるためです。

 

6.番外編① ~万一取り上げられたら?そして薬を切らしたら?

さて、ここまで万全の準備をしてそれでも取り上げられてしまった場合はどうしましょう。

正直なところ、その場ではほぼ為す術はありません。

なので取り上げられないようにできるだけ必死に訴えるようにしましょう。医療証明書はそのためにもあります。

もし見込みがなさそうな場合は、代替薬を現地で処方してもらう、もしくは日本へ定期的に通院することになるでしょう。

ただ後者はかなり時間的・金銭的コストがかかるので、現実的に考えて前者が代替案となるでしょう。

(禁輸対象ではないなら最悪郵送という方法もありますが、処方薬はそもそも入手が難しいのと一度に送れる量にも限界があります)

 

東アジアや東南アジア、欧米諸国の大都市であれば日本人医師が常駐する病院や日系のクリニックが比較的見つかりやすいです。

そもそも日本人の患者が多ければ日系の医薬品の備蓄や、入手経路が確保されている可能性もあります。

そういった病院が無さそうならローカルの大病院に行きましょう。

 

とにもかくにも、もしもの時にかかれる病院を事前に調べておかれることをオススメします。

僕は母親が看護師なのでこのあたりの情報を得るように口酸っぱく言われ、病院をいくつかピックアップしておきました。

現地の病院情報は留学の方は大学や留学エージェント、赴任の方は会社に相談することに加えて、旅行ガイドブックや現地の日本人向けポータルサイト等からできるだけ情報を拾っておきましょう。

 

いずれにせよ何事も健康第一、何かあった時に慌てるではなく、「備えあれば憂いなし」の精神で万全の準備をしましょう!

 

7. 番外編② ~本領発揮とコロナ禍のような特殊ケース

本記事を書いてから約1年後の2020年10月、今度は現地での就職のために再度中国へ渡航しました。

この際も前回同様に医療証明書を発行したんですが、同じ先生に依頼したために基本は前回を踏襲する形での作成となりました。

ただし前回とは薬の内容が若干変わったことに加え、留学よりも長めに滞在期間を想定していたため、記載内容や日付等の細かい点がいくつか変更になりました。

今回は持ち込む薬の量も多かったことに加えてコロナ禍という特殊事情も重なったため、税関のレギュレーションや方針に何か変化があるのではないか?引っかかったらどうしよう?という不安がありました。

結論から言うと、税関で質問を受けてしまったものの問題なく持ち込むことができました。

質問を受けたのはやはりコロナの影響でスーツケースの内容物に敏感になっているのか、それとも前回に比べて薬の量が多かったので輸入物品と思われたのか理由は定かではありません。

いずれにせよ、医療証明書のおかげで自信をもって事情を説明することができました。

税関職員の方が話が分かる方だったというのもありますが、医療証明書が効果を発揮したのは間違いありません。

最終的に「分かった、大丈夫だよ。まあ、次回からは少なめでね~」的な感じのことを言われて納得してもたえたのを覚えています。

2022年4月現在、現地での就労を終えて帰国していますが、途中薬が足りなくなりそうな気配もあって一時帰国だったり最悪の場合郵送してもらうというのも考えたりもしました。

ただご存知の通り、中国のコロナ政策は厳格化の一途をたどったことでいずれも現実的な選択とはなり得ませんでした。

もしどうしてもだめだった場合はやはり現地で代替薬を入手するという手しかなかったかな?と思う次第です。

限度はあるかと思いますが、コロナ禍のような特殊事情で一時帰国が難しそうな場合はできるだけ多く(もちろん渡航先の法律で明示的に禁じられていないことが前提)の薬を持ち込みましょう。

遠い異国の地で体調を崩した場合は日本国内で対処する場合みたいに簡単には行かないので、事前に打てる手は全て打って万全の備えをししていただくことを心からオススメします。

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