延吉ってどこだ?吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市に行ってみたらこんなところだった

2020-04-18

你好!

つい先日、大連に留学して2ヵ月半になったタイミングで初めて中国国内旅行に出かけました。

行った先は北京でも上海でも瀋陽でもハルビンでもなく…

そう、延吉(Yánjí、イェンジー)です。

 

延吉って?

延吉とは、吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市のことです。

日本語の読みは “えんきつ” または ”えんきち” です。

 

場所は?自治州ってどういうこと?

どこそれ?

って感じだと思うので地図で示してみたいと思います。

こんなところにあります。

どうですか?

北朝鮮からめっちゃ近いですよね。よく見たらロシアも近いです。

名前を見ると一目瞭然なんですが、この地域は中国の少数民族である朝鮮族が集住する地域なんですね。

そもそも中国には55の少数民族が暮らしていて、彼らの集住地域が中国各地に見られます。

少数民族の集住地域は規模(等級)によって数種類に分類されます。

まずは自治区ですね。

新疆ウイグル自治区や広西チワン族自治区のように、中国には少数民族の自治区が5つあり、それぞれ省相当の広大な領域を有しています。

次に自治区よりも小規模な物として自治州があります。

これも中国内の各地に点在しています。

(他にも自治県や自治郷等、更に細かい行政単位もありますがここでは説明を割愛します。)

延辺朝鮮族自治州は自治州の一つで、延吉市はその州都になります。

なお延辺朝鮮族自治州は、中国建国後の延辺朝鮮族自治区を経て1952年に延辺朝鮮族自治州という今の名前になりました。


youは何しに延吉へ?

ちなみに今回延吉に行った理由は色々あるんですが、その一つは朝鮮族の文化や暮らしに元々興味があったからです。

興味を持ったきっかけは日本時代の友人です。

僕は日本時代に朝鮮族の友人が2人いたんですが、かねてより彼らから朝鮮族の話や延吉のことを色々聞いていたんですね。

で、時には新大久保なんかにある延辺料理店に食べに行ったりもしました。

延辺料理?何それ、初めて聞いたけど?って人が殆どだと思うので軽く紹介します。

↓こんな感じです!

延辺料理とは何かと一言で言い表すと難しいんですが、写真でなんとなくお分かりいただけましたでしょうか(笑

延辺の名物料理は羊を中心とした肉の串焼きです。

独特の風味をした香辛料が振りかけられていて、これが病みつきになる人も多いとか。

万人受けする王道の美味しさとはちょっと違うんですが、日本人なら極端に苦手な人も少ないと思います。

僕自身は大ファンでも無いんですが、たま~に食べたくなる程度には美味しいと思ってます。

それから冷麺やビビンバのような韓国料理的な物もたくさんあるので、串焼き以外も概ね日本人の口に合うかと思います。

このように延辺料理を味わいながら朝鮮族というものが少しずつ身近になって行きました。

あとは自分で言うのもなんですが、僕はここ2年くらいやや韓国通で、去年から5回も韓国を訪問しています。

その際に韓国にあるチャイナタウンにも何度か行ってるんですが、その実態はチャイナタウンという名の朝鮮族タウンだったんですね。

京畿道安山(アンサン)市にあるチャイナタウン

テリム(大林、대림)とか言う韓国で最もヤバイ(?)チャイナタウンに行ってみた!

てな感じで、ここ数年のうちに「朝鮮族」が僕の中でホットなワードの一つになっていたわけです。

そんなこんなで朝鮮族に興味を持つようになり、今回中国での留学ライフに慣れてきたということもあって、本家である延辺朝鮮族自治州への旅行を思い立ったわけです。

 

延吉へのアクセス

延吉に行くには主に2つの交通手段があります。

一つは鉄道で、もう一つは飛行機になります。

延吉には鉄道のターミナル駅も空港もあるんですね。

いずれも市内中心部からちょっと外れたところにありますが、概ねアクセスが良いかと思います。

 

電車

上の図を参照してほしいのですが、電車の場合は市の中心部から西に数キロ行ったところにある延吉西駅がターミナルになります。

高鉄(中国の新幹線)が発着しており、大連や長春、ハルビンなどの東北地方の主要都市から直通で行けます。

 

飛行機

飛行機の場合は市の中心部から南東に数キロに位置する延吉朝陽川空港を利用します。(こちらも上の図参照)

中国各地や韓国のソウルや釜山からの便の他に、日本の関西国際空港からも直行便があります(2019年11月現在週2便)。

今回僕は大連から飛行機で行きました。

以下で空港の様子や市内へのアクセスを紹介します。


延吉朝陽川空港の様子と市内中心部へのアクセス

今回の旅行では、大連の周水子国際空港からの直行便で向かい、11月15日(金)17時半頃に現地に到着しました。

到着してバゲージクレーム(荷物受け取るベルトコンベアのとこ)の周りを見渡してみると…

そこかしこにハングルやら韓国と関連が深そうな看板が。

後述しますが、延吉は韓国要素でいっぱいなのです。

 

空港内の様子

さて、荷物を受け取り到着ロビーに出たところでまた周りを見渡してみます。

するとどうでしょう。

空港内の至る所に朝鮮の要素が。

街に出る前なんですが、もう延吉に来た実感が沸いています。

というわけで小生、ワクワクしてまいりました。

市内へ移動するべく、そそくさと出口を見つけて空港の外に出ます。

※小さい空港なので出口はすぐに見つかります。到着ロビーの真ん前あたりです。

 

空港から市内へ出るには?

空港から市内へ行くにはタクシーまたはバスを利用します。

タクシーは空港から出てすぐのところにあるロータリー的なところでいくらでも拾えます。

ただタクシーだと高い(20元以上はかかるとのこと)うえにボッタクリも心配です。

なので僕はバスで行くことにしました。

バス停は空港を出てひたすら右斜めに進んだところにあります。

↓こんな感じのやつです。

着いたのが夜やったんで、ちょっと見づらいですね。

↓昼だとこんな感じです。

中は待合スペースみたいな感じになってます。

ここでバスを待ちます。

あ、ちなみにバスが来るのはこの待合スペースの裏なので、乗り逃さないよう注意が必要です。

というわけでバスに乗ろうと思うんですが、問題はどの路線に乗るかです。

系統はいくつかあるんですが、市の中心部へ行くなら29路または45路に乗ります。

29路の場合は15個目のバス停である水上市場にて、45路の場合は同16個目の百貨大楼にて下車すると良いでしょう。

いずれも所要20~30分ほどで到着します。

さて、そうこうしていたら29路のバスが到着しました。さっそく乗り込みます。

ちなみに料金は一律1元です。(2元と聞いていたんですが、運転手に確認してみたら1元でした)

ところで交通カードのリーダーみたいなのがあったので、試しに大連の交通カードをかざしたんですが、エラーになりました。

どうやら大連の交通カードとは互換性が無いらしく、この市域独自のカードでないとダメみたいです。

バスに揺られること20分強で中心部に到着し、そのままホテルへチェックインとなりました。


街の様子~韓国資本と韓国要素で溢れる街

チェックインの後、延吉の夜を歩いてみました。

夜景中心になかなか綺麗な街並みです。

ところで延吉の街にはある特徴があります。

字で説明するよりも実際に写真で見てもらいましょう。

なんと、ことごとくハングル並記です。

というか何なら漢字よりもハングルの方が表記のプライオリティ(優先度)高くないですか?

とにかく街中のいたるところにハングルが溢れていて、ここが一体どこなのか分からなくなります。

なぜこうなのかというと、ここが朝鮮族自治州だから。

っていうのが一番大きな理由だとは思うんですが、これに加えて韓国資本の流入が著しいということも挙げられるかと思います。

例えば市内のそこらじゅうに↓こんな感じの韓国資本と思しきスーパーマーケット的なお店があります。

特に食品を中心に韓国製品のプレゼンスが著しく強いです。

この手のスーパーには何か所か行きましたが、ジュースやお菓子なんかはほぼほぼ韓国製ってのもザラでした。

基本的にオールジャンルにおいて何かしら韓国製と思しき製品が含まれていたという印象です。

そしてK‐POPグッズなんかもちょいちょい売ってたり。

一体ここはどこなんでしょうか?(2回目)

ちなみに韓国関連商品が売ってるのは何も露骨に韓国要素の強いお店に限った話ではありません。

外見上特に韓国の色合いが濃くはない(と言いつつ実は韓国資本、とかだったら笑うけど)市内のデパートとかコンビニなんかも韓国製品で溢れています。

写真撮り忘れましたが、LGやSAMSUNG製品をフィーチャーしているお店だったりもありました。

さらにはこんな物まで…

美容整形外科ですね。

ここまで徹底してると、もはやここが中国である必要は無いんじゃないでしょうか?

一体ここはどこな(ry


「朝鮮族」自治州っていうくらいだから韓国語は余裕で通じる!…と思いきや……

これだけハングルで溢れていればさぞ住民のバイリンガル率は高いんでしょう。

と、思ってたんですが完全なる誤解でした!

どうやら近年朝鮮語教育が廃れつつあることに加え、漢族が増加しているという背景から朝鮮語を全く理解できない住民の方が多数派のようです。
(自治州住民全体のうち漢族が占める割合は6割程度となっています)

実際に3日間の旅行中に色んな人と話したんですが、韓国語が通じる人は5人に1人もいないくらいでした。

バス内や繁華街で市民の雑談に耳を傾けても聞こえるのはほとんどが中国語です。

韓国資本のお店、または韓国料理のお店に行っても例外ではなく、店長を除く店員全員が(下手したら店長も)漢族というお店もザラです。

実際僕の泊まったホテル(↓1枚目)は看板がハングル並記にもかかわらず全員が漢族で朝鮮語ダメ、初日の夜に食べた焼肉屋さん(↓2枚目)も朝鮮族の店員は1人だけといった状況でした。

また朝鮮族であっても、朝鮮語力にはかなりバラつきがあるようでした。

・朝鮮語を第一言語として話す人(朝鮮語ネイティブ)

・日常会話程度なら大丈夫という人(朝鮮語はサブ)

・ハングルが読める程度な人(朝鮮語はほぼ分からない)

・ハングル含め朝鮮語は全くダメな人

等、様々ですが満足に話せない人が思った以上に多いなという印象です。

先述した日本時代に知り合った朝鮮族の友人二人については、二人とも全く朝鮮語ができませんが、案外普通のことだったようです。

僕は一応TOPIK6級(韓国語能力試験の最上級)を持っていますが、この感じだともしかしたら朝鮮族のアベレージよりも話せるかもしれません。

朝鮮族は朝鮮語を標準装備しているバイリンガルだと思い込んでいるフシがあった僕としては、かなり意外な印象を受けました。

 

主な交通手段

とまあ、延吉の街での体験からの驚きをレポートしたところで、市内交通についてお話ししたいと思います。

延吉は郊外も含めて非常にコンパクトな都市です。

鉄道駅はことごとく市街地や観光地から外れているため、観光等であちこち移動する際はバスまたはタクシーが主な交通手段となるでしょう。

バスの料金は一律1元ないし2元です。

市内の至る所に路線網が張り巡らされているため、基本的にこれだけで問題なく移動できます。

ただし延吉のバスはかなり本数が少なく、バス停によってはあり得ないくらい多くの系統が停車します。

酷いときは20分くらい待っても来ない、なんていうこともあるかも知れません。

また終バスの時間も極端に早く、19時が最終なんていうのもザラです。

それゆえ時間に余裕が無い方や夜遅くなる可能性がある方は、バスのみで済ませるのは難しいでしょう。

方やタクシーに関してですが、こちらは市内のいたるところで捕まえることができます。

道もあまり混まないのでバスに比べるととにかくスムーズなんですね。

ただ今回の旅行で僕はタクシーに乗っていません。空港と市内の往復も含めて全てバス移動でした。

それゆえ料金については確実なことは分かりませんが、おそらく初乗り10元ほどかと思います。

そうそう、そういえば思い出したんですがバス内のアナウンス!

延吉のバスは最初に朝鮮語のアナウンスががあって、その後に中国語のアナウンスがあります。

やっぱりここは中国じゃないですね(笑)

 

治安

3日間の滞在でしたが、治安についてはすこぶる良いと思います。

なんだか北朝鮮に近いっていうだけで怖いなって印象持たれてる方もいるかもしれませんが、全く心配ご無用です。

夜中に一人で人通りの無いところを歩いても問題ありませんでした。

ただし外国にいるという自覚と最低限の注意は必要です。(これはどこも同じ)

 

物価

中国の中でも地方にあり、結構小さい町っていうこともあって物価は安いです!

…って言いたいところなんですが、そこまで安くもないです。

たとえば僕が行った焼肉屋さんはこんな感じでした。

サムギョプサル1人前35元

牛カルビ(タレ)1人前48元

飲み物とか米とかその他付け合わせのおかずとか、トータルで96元でした。(死ぬほど美味かった)

まあ日本で食べた場合と比べると半分程度かもしれませんが、中国にしてはそれなりの値段ですよね?

他にも水なんかも500ml1本2~3元、アイスなんかも1つ3、4元程です。

バスの運賃も1元ないし2元。

大連と比較して全く同じくらいですね。

したがって延吉の物価については

日本に比べれば断然安いけど、中国のほかの都市と比べて極端に安いということはない。

という結論になるかと思います!


今回の旅行で行った場所

今回の旅行ではいくつかの観光名所を回りました。

記事としてまとめたのでリストアップします。

 

①延吉博物館

延辺と朝鮮族の歴史を知るならここ!延辺博物館に行ってみた

 

②西市場 & 延吉大学

西市場、か~ら~の延吉大学!延吉市内でサクッと観光するならこの2か所

 

おわりに

以上、延吉について現地での見聞を中心にお話しさせていただきました。

とりあえず世界のどこにも似たような場所は無さそうですよね…?笑

ぶっちゃけ街自体にはこれといった観光地はありませんが、中国でもなく韓国でもない異国の中の異国という一風変わった味わいのあるところでした。

久々の旅行だったんですが、やっぱりたまに遠出すると良い気分転換になり、新しい発見も多いなと改めて実感します。

こんな感じで今後も旅行記事や現地レポートを書いて行きたいと思います!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!


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