ベトナムで見つけた中国!~旧正月、仏閣、チャイナタウンetc

2020-02-29

シンチャオ!

前回に引き続き、今回もベトナム旅行の記事です。

(前記事↓)

初めてのベトナム旅行で行ったホーチミン。印象に残ったのはバイク、気候、それから…

今回はさらにテーマを絞ってみたいと思います。

タイトルにもある通り、今回の主題は「ベトナムで見つけた中国」です。

 

ベトナムと中国の関係

元々ある程度知っていたとはいえ、今回の旅行で強く実感したのはベトナムは多くの面で中国の影響を受けているということです。

ご存知の通りベトナムと中国は陸で接した隣国同士で、両国の間には古くから人や物の往来が盛んでした。

ただし負の側面と言えばいいでしょうか、ベトナムが中国によって主権を奪われ蹂躙される、あるいは朝貢関係になっていた時期もまた長いです。

したがって、古来より「中国に従属するベトナム」という構図にあった期間も決して短くないと言えるでしょう。

古くは秦の始皇帝の時代に始まり、こうした関係は程度の差こそあれ清朝の半ば頃まで続きます。

その後フランスによる植民地支配やベトナム戦争を経て、現在のベトナム社会主義共和国となります。

現在のベトナムは中国と同じく社会主義思想を基本に据えた共産主義社会です。

隣国であり、なおかつ政治思想的な親和性も高いことから両国の交流は盛んである一方、隣国ならではの諸問題も抱えています。

特に近年では南沙諸島や西沙諸島をめぐる領土問題ならびにベトナムEEZ(排他的経済水域)内における中国の不法操業等が問題となりました。

 

…と、ここまではちょっとネガティブな側面ばかりに触れてしまいました。

以降はちょっと話題を変えてみましょう。

 

ベトナムが中国の影響を受けてきたのは何もこうした負の側面だけではありません。

以下ではベトナムで享受されている中国発祥の文物についてお話します。

 

ベトナムが中国から受容した文物

ベトナムにある中国由来の要素とは何でしょうか。

今回の旅行を通して僕が見聞きした範囲内でいくつか挙げてみたいと思います。
(その範囲を超えて全部挙げようとすると、それだけでブログが1つ出来上がっちゃうので絞らせていただきます…笑)

 

節句

ベトナムには中国人が古より大切にしてきた節句を祝う習慣があります。

特にメジャーどころは以下になります。

 

・旧正月(旧暦1月1日)

・端午の節句(旧暦5月5日)

・七夕(旧暦7月7日)

・中秋節(旧暦8月15日 )

 

いずれも旧暦を祝うので、年によって何月何日なのかはバラバラです。

例えば2020年は1月25日旧正月になります。

日本は正月も端午の節句の七夕も盆も新暦を祝うので、「あれ?」って思うかもしれませんね。

とは言えこれらの節句は旧暦を使用していた時代の産物なので、本来はこちらが正統派なんですね。

実際、中国大陸本土のみならず台湾や香港をはじめとした中華圏の諸地域や韓国なんかでも節句は旧暦を祝うのが基本です。

ところでベトナムで最も盛大に祝う節句は旧正月(テト)です。

僕がベトナムを旅行した時期はちょうど旧暦の年末と重なっていて、とにかく街には活気とお祭りムードに溢れていました。

帰省客も多いので、国内の交通機関はあちこちでごった返すそうです。

そして街中のいたるところで旧正月の装飾品が売られています。

日本の正月で例えるなら鏡餅や門松のような位置付けでしょうか?

赤を基調とした装飾品が中心で、漢字(特に「福」の字)が書かれている物が大部分です。

今年はベトナムでも中国でも旧正月の雰囲気を味わうことができたわけですね!
(肺炎流行のせいで中国人は正月どころじゃなかったけど…)

 

漢字文化圏

これって知らない方も多いと思うんですが、ベトナムってがっつり漢字文化圏です。

ベトナム語って聞いてもそもそも文字すらピンと来ないか、イメージがあったとしてもアルファベットに何だかよく分からんニョロニョロが付いてる文字、ってことくらいしか知らない方が殆どかと思います。

例えばベトナムの正式名称であるベトナム社会主義共和国をベトナム語で書くとこうなります。↓

Cộng Hoà Xã Hội Chủ Nghĩa Việt Nam

実はこのよく分からない文字列は全て漢字表記可能で、漢字にすると

共和社会主義越南

こうなるんですね。

実際は旧字体なので厳密には若干差異があるんですが、意味的にはそのまんまです。

日常で使う単語の多くも漢字語であり、日本語の単語をそのままベトナム語読みにするだけの単語も非常に多いです。

例えば

経済 = kinh tế

経験 = kinh nghiệm

このことから「経」という漢字が”kinh”と読むことが分かり、さらにそこから色んな語彙を類推することができます。

ちなみに僕が行ったお茶屋さんでは看板に漢字が並記してありました。↓

もし街中の看板も全て漢字並記になったなら、日本人観光客にとってどれだけありがたいでしょうか…笑

 

仏教寺院

宗教、特に仏教においても中国の影響は大きいものがあります。

中国からベトナムに伝わったのは基本的に大乗仏教になります。

大乗仏教って何?

簡単に言うと、あらゆる人が救われる仏教のことです。その反対が小乗仏教です。

一部の出家してガチの修業を積んだお坊さんだけが救われる小乗仏教と違って、僕らのような一般の信者も信仰さえすれば救われて良いよね!

といった感じの、マイルドな仏教になります。(乱暴な言い方ですみません)

ただしあくまでもこれはベースに過ぎません。

日本にも中国から仏教が伝わりましたが、長い年月を経て宗派や思想が多元化しましたよね。

それと同じく、中国からベトナムに伝わった仏教も長い歴史の中でベトナム独自の変化を遂げてきました。

不勉強で申し訳ないんですが、僕は仏教についてはそんなに詳しくないのでちょっとビジュアルで見比べてもらえればと思います。

ホーチミンで訪問した、ベトナム式の仏教寺院と中国式の仏教寺院の様子をお見せします。

それぞれのカラーは特に仏閣に表れてると僕は思ったんですね。

まずベトナム式のお寺から。

ホーチミン3区にある永厳(ヴィンギエム)寺↓

このお寺は1970年頃に建てられた比較的新しいお寺になります。

ベトナム独自のカラーもそれなりに強いそうで、門のデザインや建造物の色合いが印象的でした。

そして仏様も雰囲気のみならず物理的にも神々しいです。

 

ついで中国式のお寺です。

ホーチミン5区のチョロン地区にあるティエンハウ寺(天后宮)↓

ベトナム式と全然違うと思いませんか?

全体的に色合いが地味で、建築様式や仏像の造形にも違いが見て取れます。

というか、このお寺見てて思ったんですが、なんだか横浜中華街の関帝廟に似てる気がします。

↑うわ、外観だけだとあんまり似てない…笑

なんていうか内部がちょっと似てるんです。

内部の扉に描かれてた絵↓

なんか関羽に見えませんか?笑

 

…とまあ、ちょっと後半話が逸れましたが何が言いたいかと言うと

ベトナムには中国から伝わった仏教が独自の変化を遂げたうえで、今なお受け継がれているということです。

ベトナムの仏教寺院は本当に独特の味わいがあるので、旅行される方はぜひとも行ってみてください!

 

チャイナタウン

ベトナムには100万人以上の華僑が住んでいます。

明代以降盛んになった中国人の東南アジア進出において、当然隣国であるベトナムも有力な移住先でした。

そして中国からベトナムに移り住んだ中国人とその子孫がベトナムのあちこちに華僑・華人のコミュニティを形成しました。

今回僕が行ったのはホーチミン5区にあるチョロン地区のチャイナタウンです。

ただし要注意ですが、横浜中華街みたいな門とかは無いですし、いかにもチャイナタウンの雰囲気!って感じではありません。

どこからどこまでがチャイナタウンなのか境目も分からないくらいです。

見どころにも乏しくてあまり写真も撮らなかったんですが、さっき紹介したお茶屋さんや中国寺院はまさにこのエリアにありました。

まあ、それ以外だとぼちぼち中華系のお店があるくらいのものです。

せっかくなので薬局にもちょっと寄ってみました。↓

おそらく漢方薬のお店でしょう。

ちょっと気になったハッカ油の薬を一瓶買いました。

値段はだいたい180円くらいでした。

患部付近に塗ることで、あらゆる痛みや体調不良が改善するそうで。

タイガーバームってご存知ですか?

何か効果も匂いもあれに近い感じで、個人的に大好物でした。

 

ところで、チャイナタウンの外れにはこんな感じの中華料理店もあります。

どうやら点心が売りのようです。

実は僕はちょっと変わった人間で(まあ言わなくても分かるか…笑)、海外旅行に行くと絶対にその国の中華料理を食べるようにしています。

せっかくベトナムでしかもチャイナタウンに来てるのに行かないっていう手はありあませんよね?(知らんがな)

というわけでここで食事をすることにしました。

お店に入ると、こんな感じ↓で凄く清潔でした。

メニューを見てみました。

まあまあ良い値段します。

ベトナムにしては珍しく税金とサービス料が別途にかかります。(サービスは確かに良かった)

てな感じで鉄観音茶と

点心をいくつか注文しました。

一人1500円くらいだったでしょうか。

まあまあ高いと思います。

でもお茶は200円くらいで、なおかつお湯の継ぎ足しは無料だったのでコスパはかなり良かったです。

 

ところでベトナムでは中国茶も本当にポピュラーです。

市場やお土産物屋さんなんかでもたくさん売ってます。

バリエーションも豊富ですし、値段も1パック200円台~でリーズナブル。

これもベトナムに浸透している中国文化の一つと言えそうですね。

 

まとめ

ここまで、今回の旅行を通して僕がベトナムで見つけた中国(要素)についてお話させていただきました。

中国(要素)と言いつつも、随所にベトナム独自の味わいなんかもあって、非常に興味深かったなというのが率直な感想です。

国の文化って100%オリジナルな物から他国の影響を受けてアレンジが加わった物まで様々ですよね。

今回の旅行ではベトナムオリジナルから中国由来の物まで本当に色々な文化的要素を体験することができました。

(勤勉な国民性と言い、外の文化にアレンジを加えて独自の物を作り出す創造性と言い、日本人が持ち合わせている特徴とも通じる物があると思います。)

ちなみにここで紹介したのはほんの一部なので、探せばもっともっと中国要素はあると思います。

もしベトナムを旅行される機会がありましたら、こういった観点で旅行を楽しんでみるのも面白いのではないでしょうか?笑

ではまた!

LINEで送る
このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket